アルツハイマーの初期症状とは？意外な兆候に注意

記憶以外にも注目すべき！初期症状3つ

1つ目は「短期記憶の喪失」で、会話の内容をすぐに忘れたり、鍵や財布などを置いた場所を思い出せないといった行動が見られます。2つ目は「見当識障害」と呼ばれる、時間や場所の感覚が曖昧になる症状で、近所で道に迷ったり、曜日や時間が分からなくなることがあります。そして3つ目が意外にも「性格や感情の変化」です。例えば、以前は社交的だった人が無口になったり、急に怒りっぽくなったり、無関心で感情表現が乏しくなるなど、人格の変化が現れます。これは脳の前頭葉や側頭葉に影響が出始めたサインとも言われており、周囲が気付きにくいだけに注意が必要です。特に3つ目の変化は見逃されやすいですが、初期発見の鍵となる重要な症状のひとつです。

家族が気づく日常の「ちょっとした違和感」

アルツハイマーの初期段階では、本人も自覚がないことが多く、家族が最初に「何かが違う」と気づくケースが少なくありません。具体的には、「同じ話を繰り返す」「話題にうまくついていけない」「料理や掃除などの段取りが悪くなる」といった日常の中の些細な変化が最初の兆候となります。また、テレビ番組や新聞に興味を示さなくなったり、約束を忘れたり、服のコーディネートが乱れるといった変化も要注意です。こうした行動の変化は、加齢によるものと片付けられがちですが、実は脳の働きに異常が出ているサインである可能性があります。違和感を覚えた際には、他の家族とも情報を共有し、客観的に状況を観察することが大切です。

早期発見と対応が生活の質を守るカギ

アルツハイマー病は根本的な治療法こそ確立されていないものの、早期に診断を受けることで進行を遅らせる薬の使用や生活リズムの見直しなど、さまざまな対応が可能になります。定期的な健康診断や認知機能チェックを受けることはもちろん、気になる症状が出たら早めにかかりつけ医に相談することが重要です。診断が確定すれば、介護保険を利用して訪問介護やデイサービスなどの支援が受けられるようになります。また、地域包括支援センターでは、家族向けの相談や福祉サービスの紹介も行っています。大切なのは「気付いた時にすぐ行動すること」。症状の進行を食い止めるためにも、家族が一丸となって支え合う環境を早期に整えることが、安心した日々を送る第一歩となります。